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【最新海外文献】腰痛治療の日米の違い
コラムぎっくり腰・腰痛 2022.09.26
腰痛になったら最初にすることは?
アメリカ内科学会(from Annals of internal medicine)が推奨する腰痛に対する治療を本日はご紹介していきたいと思います。
腰痛に対する非侵襲的治療
アメリカ内科学会が、腰痛の非侵襲的(手術などを除く)治療についてのガイドラインを作成しました。
非侵襲的治療とは身体に負担を与えない手技のことをいいます。
2007年に作られたガイドラインもありましたが、2015年4月までの研究結果も含めて、改めてエビデンスが出ている治療法を推奨としてまとめました。
急性・亜急性腰痛の治療
急性腰痛、亜急性腰痛は、痛みが始まって12週間以内の腰痛です。
急性腰痛が出た人の大多数は時間が経つと自然に痛みが軽くなります。
そのため、ガイドラインではまず薬を使わない治療法を勧めています。
- マッサージ
- 鍼
- 脊椎マニピュレーション(脊椎矯正)
この3つです。
以上に加えて、薬を使う希望があった場合に選ぶ薬は、NSAIDs(エヌセイズ)と筋弛緩薬(きんしかんやく)が挙げられています。
NSAIDs(エヌセイズ)は日本の市販薬にもよく使われている一般的な痛み止めの薬です。
飲み薬や坐剤、テープ剤、軟膏剤、湿布などの形で使われています。
筋弛緩薬(きんしかんやく)は筋肉の緊張をゆるめる薬です。日本でも腰痛症などに対して処方されています。
慢性腰痛の治療
12週間以上長引く腰痛は慢性腰痛に分類されます。
慢性腰痛は原因がはっきりしないことも多くあります。
慢性腰痛に対する治療として、ガイドラインでは薬を使わない治療(非薬物療法)を勧めています。
- 運動
- 脊椎マニュピレーション(脊椎矯正)
- リハビリ
- 鍼
- マインドフルネス治療
- 太極拳
- ヨガ
- モーターコントロール
- リラクゼーション
- バイオフィードバック法
- 低レベルレーザー治療
- オペラント療法
- 認知行動療法
上記の治療法により効果不十分だった場合に薬を使うことを勧めています。
最初に使う薬はNSAIDsとし、不足だった場合にトラマドールまたはデュロキセチンを勧めています。
トラマドールは非麻薬性オピオイドに分類されます。
強力な痛み止めの薬です。
デュロキセチンはSNRIという分類に当たる抗うつ薬の一種です。
痛みを抑える効果も知られ、実際に鎮痛目的で使われてています。
ガイドラインでは、以上の薬物で不足だった場合にオピオイド鎮痛薬を勧めています。
治療による副作用はないのか?
ガイドラインの中で、治療によって起こりうる害として次の例などが挙げられています。
2007年から何が変わったのか?
2007年版のガイドラインでは、痛み止めの薬のうちアセトアミノフェンも有効としていました。
アセトアミノフェンは市販薬でも広く使われている一般的な薬で、安全性が高く、子どもにも使えます。
しかしNSAIDsに比べて一般に効き目は穏やかと考えられています。
今回のガイドラインではアセトアミノフェンは推奨されていません。
また、三環系抗うつ薬も鎮痛作用がある薬です。
2007年版では三環系抗うつ薬が一部で勧められていましたが、今回の推奨には入っていません。
代わってデュロキセチン、マインドフルネス治療、太極拳は新たに加わりました。
以上、アメリカの腰痛の治療のガイドラインを紹介しました。
参考文献
Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.
Ann Intern Med. 2017 Feb 14. [Epub ahead of print]
アメリカでは腰痛には非薬物治療を薦めますが、日本では必ず湿布と痛み止めが処方されます。
(このちがいは・・・???)
今回アメリカで腰痛治療に推奨されている施術の中で、マッサージ、脊椎マニュピレーション、鍼の施術は当院でも取り扱っております。
健康保険適用となりますが、健康保険を使うと煩わしいとお考えの患者様には3000円で施術を受けることが可能です。
お気軽にご相談ください!